12月12日
テロ対策新法への対応をめぐり、本臨時国会は、1月15日までの再延長手続きが採られる見込みとなりました。一方で、本日も本会議が開かれ、数個の法案が与野党の大多数の賛成で可決・成立しており、今後も、電子投票法や政治資金規正法の改正案が成立していくものと考えられます。政局は、テロ対策新法の衆議院での再議決の問題の他、年金統合作業遅延の問題や薬害肝炎訴訟解決の問題など、新聞紙上を賑わせている幾つかの問題の議論の行方にかかることになってきました。
12月9日
日本抗加齢医学会セミナーに招かれ、最新の知見を勉強してきました。この学会の主導メンバーは、長年の私の先輩や友人たちで、抗加齢医学の発展・普及は生活習慣病を予防して国民を元気で長生きする体質にする鍵であり、少子高齢化社会を迎える日本の健康政策の基本に据えられるべきであると、以前から言っていました。実際、食事内容や生活様式、ビタミンや微量元素が寿命や諸臓器の加齢性変化に及ぼす影響に関する近年の科学的知見は、著しい勢いで増加しています。現在、与党では、健康食品に関する適正な普及のための議員立法を目指して勉強会が立ち上がっており、私も中心メンバーとして頑張っていますが、是非、今後も常に最新の知見の収集に努め、よりよい立法に結び付けたいと思いました。
12月8日
日本大学医学部産婦人科教室の同窓会にお招きいただき、「明日の産婦人科医療―その可能性と課題―」と題した講演を行いました。分娩診療を取りやめる医師や医療機関が増加する中で、産婦人科医療、特に地域の産科医療が危機的状況を迎えています。これには、診療報酬の抑制、医療従事者への行過ぎた刑事制裁、臨床研修医制度における配慮不足など、多様な要因が複雑に絡み合っており、総合的な解決が必要です。産科診療の診療報酬については引き上げが予定されており、産科診療の無過失補償制度や診療行為に係る死亡の死因究明制度などの創設の議論も進んでいます。医療側としては、国民の医療への信頼を回復するために、診療の質を高め、患者に対する説明責任を果たし、専門職域の中での自浄に努めていくことが大切であると話しました。
12月6日
厚生労働委員会で質問を行いました。(映像をこちらから見れます。)ウイルス性肝炎、特に血液製剤によるウイルス性肝炎が社会問題になっています。このたび、民主党は特定肝炎対策緊急措置法案を提出しましたが、私は医学・法律学両面の専門家であるため、12月6日の厚生労働委員会で、ピンチヒッターに起用され(あまり前例が無いことのようです。)、自民党を代表して質問を行いました。
法律的観点からは、民主党案の趣旨には、法的責任と政治的責任の混同や適用対象者との矛盾が指摘されます。立法府たる国会の委員会の場において、単なる感情論に立脚して、法律案の趣旨という最も重要な部分の法的議論を蔑ろにする民主党の態度には大いに問題があると思いました。また、医学的観点からは、制度の対象となる治療の範囲や、無症状ウイルス保有者の定義があいまいであること、医療機関を指定制度とする点について、医師へのアクセスが難しくなることや、医師が転勤した場合の治療に問題が出ることなど多くの不備が指摘されます。
自民党は肝炎患者の救済のみならず、予防、診断、治療といった肝炎に対する総合的な対策を打ち立てるため肝炎対策基本法案を衆議院に提出しておりますが、現在においても肝炎患者さんの早期発見や医療へのアクセスには解決すべき課題が多く、また、肝炎等に対する正しい理解が国民に定着しているとは言えません。したがって、民主党案のような単なる医療費の助成にとどまるのではなく、総合的な対策を講じて、国、地方公共団体、医療保険者、国民及び医師等、それぞれが役割を果たし、肝炎予防に関する啓発や知識の普及を図り、肝炎検査に関する普及啓発を行うなど肝炎予防を推進し、肝炎検査の質の向上を図るなど、予防と早期発見の視点が欠かせないと考えています。
12月4日
経済産業委員会で質問を行いました。(映像をこちらから見れます。)今回は、甘利大臣のシンガポールと中国への出張報告を受けての質問となりました。
日本とアセアンとの包括的経済連携協定が妥結され、また、日中ハイレベル経済対話で、気候変動・環境保護・エネルギー分野における協力を明記した共同文書がまとめられました。温室効果ガスについて世界第2位の排出量の中国(1位米国、3位ロシア、4位日本、5位インド)が温室効果ガス削減の枠組に入ることが、2013年からの「ポスト京都」にとって重要であり、引き続き中国そしてインドと粘り強く交渉する必要があります。その具体的な進め方などについて質問しました。地球温暖化問題は自然科学の問題であり、各国政府が国内外の利害調整に振り回されている間にも、温暖化は関係なく進行していきます。事態を正面から見据えた真摯な議論のために、日本政府が強いリーダーシップを発揮すべきであることを提言しました。
次に、次代の日本の技術開発力を担うベンチャー企業の育成について、特許制度の合理化や産業界の協働体制構築への取組み、円滑な投融資を支援する施策等について質問しました。また、医薬品や医療機器の開発を促進するための問題点について、縦割り行政の弊害や、現行の閉鎖的な審査体制について、抗がん剤や手術用ロボットの開発経験を踏まえて質問しました。厳しい国際競争の中で、日本産業成長への鍵となる、科学技術の研究・開発を支援する体制の整備が急務です。研究者として実際に現場で痛感した問題点について指摘することで、問題の所在を明確にすることができたと思います。
12月2日
運悪く偶発的な事故に巻き込まれ、右膝蓋骨骨折の重傷を負いました。本来ならば入院の上ギブス固定をする状況ですが、今週も、重要な審議が続きます。国会議員である以上、議会での義務は最低限果たしたいと考え、危険は承知の上ですが、膝関節の固定と出来る限りの安静で対処することにしました。いつも、患者さんには、「仕事が大切なのは良く分かりますが、今は病気を治すことが将来の仕事のために一番大切なのです。」と言ってきましたが、医者の不養生とは正にこのことです・・・。
とりあえず予定していたこの日の政務は全て中止し、議員会館の自室内で安静にして溜息ばかりついていました。
12月1日
医療・福祉関係の数多くの政府委員を歴任されている田中滋慶應義塾大学大学院教授の医療政策の研究会に参加し、数多くの新しい研究発表を聞くとともに、自分でも発表してきました。この研究会には、大学研究者,医師,病院管理者,官僚,企業の役員,公認会計士など、実に多様な背景の人たちが自由に参加して討論しており、まさに多職種協働・産官学連携を地で行くような研究会です。私も2年前から参加し、時折発表もしてきましたが、参加者からの率直なコメントは、いつも大変に参孝になります。今後も、学術側からの情報はいち早く把握し、政策に活かしていきたいと思います。