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活動報告

5月9日

「修復腎移植」の問題で、桝添大臣に申し入れを行いました。
この問題の契機となった宇和島市での万波医師らによる腎移植の過程では、確かに、不適切と考えられる点も指摘されます。
ただ、この方法によって、臓器提供をずっと待ち望んでいる多くの透析患者さんに、移植を受ける機会が拓かれるのです。第三者がしっかり監視する体制を整え、ドナーの方とレシピエントの患者さんに、十分なインフォームド・コンセントを行った上で行うのであれば、修復腎移植を一切禁止する必要は無いと考えます。


夜は、加藤紘一衆議院議員が会長を務める「見える・聞こえる・歩ける」議員連盟が主催した「感覚器サミット」の打ち上げ会に出席しました。
この会議では、聴力障害、視力障害や脊髄損傷の患者さんが回復するための画期的な治療法の研究・開発を推進するための政策について、国会議員や有識者、医学関係者が議論しました。
大学医学部で先進医療の研究・開発の現場で頑張ってきた経験を活かし、患者さんたちの一日も早い回復のために取り組んでいきたいと思います。



5月6日

早朝から、TBSテレビに出演し、みのもんた氏の司会の下、各党の議員で新しい医療制度についての討論を行いました。
新制度に対しては、多くの国民の皆様の間で批判の声が上がっています。


新しい制度は、大別して、二つの基本的な考え方に基づいています。


第一が、医療保険給付費の負担に関する世代間のバランスの問題です。
今までの老人保険制度では、基本的に、高齢者の医療費を、若い世代の負担する保険料と公費の投入で賄うという構造になっていました。
しかし、今後は、高齢者が増加して医療費が増え続ける一方で、担い手となる若い世代は減っていくため、この制度を維持することは出来ません。
今の世代が消費してしまった借財を、未来の世代に背負わせ続けるのも、もはや限界に来ています。
財政を破綻させず、かつ、国民皆保険制度を維持していくためには、高齢者の医療費の一部を、同世代の中で負担していく世代内扶助の考え方を取り入れることが、どうしても必要となります。
今回の制度改正では、この世代内扶助の部分は医療保険給付費の10%に限られており、かつ、新たに保険料を負担することになる方々については、軽減措置が講じられています。
しかし、現在の制度に対する批判の多くは、この新しくなった保険料の負担の額や方式に対してです。
政府は低所得の方々の多くは納入する保険料が減ると考えていましたが、各自治体における従前の保険料算定方式や公費投入の仕方によって、一部で保険料が増えた方々があったようです。
事前の丁寧な調査や説明を政府が怠っていたことは明らかであり、この点は大いに批判されるべきです。
ただ、私は、野党の提唱している、この新制度を単に廃止して元の制度に戻すという考え方には全く同調出来ません。
既に、「医療崩壊」という言葉が一般化していますが、世界一の健康達成度を誇ってきた現在の医療提供体制を、先進国最低レベルに削減された最近の医療費では、もはや支え切れなくなっています。
確実に増加を続ける医療費をどうやって負担していくのか。
この点の本質的議論を欠いた批判は、現実から逃避するだけの無責任なものです。


では、消費税を上げることになるのでしょうか。


既に年金制度改革の議論が先行しており、基礎年金を全額税で賄う制度についても、現実味を帯びた案になっています。
その上でさらに医療も消費税に委ねるのでしょうか。
この場合、税率20%を超える消費税となる可能性もあります。
消費税は、物品のカテゴリー毎に税率を変える(例えば生活必需品は5%のままで、高級嗜好品は高率にする)方式なども考えられますが、基本的には、消費に比例して負担することになります。
これに対し、保険料は累進的な負担となり、低所得者は小額に、所得が多くなれば、それだけ高額の保険料を負担することになりますから、消費税に比較して、より低所得者に配慮した制度になります。
以上を考えると、批判の多い新制度ですが、単に廃止すれば良いとは到底思えません。


新しい高齢者医療制度の第二の基本的な考え方は、高齢者の身体的特徴に適合した医療の提供です。


現在までの日本の医療では、患者さんは症状に応じて自由に医療機関を受診し、医療機関の側でも、とりあえず、その症状を聞いて対応するのが一般的体制でした。
患者さんが入院したり手術を受けたりするような病態でなければ、外来で必要な処置をして薬を出しますが、その患者さんが、他にどんな病気で他の医療機関に通院しており、どのような薬を服用しているのか、詳細・正確に知ることのできる体制とはなっていませんでした。
結局は、どの医師もその患者さんの病状全般に対する主たる責任をもつ意識はなく、重複して同じような作用の薬剤が処方されていたり、相互に矛盾する働きをする薬剤が投与されていたりする場合が少なくありませんでした。
また、高齢になれば、生理的に身体機能が低下してきますので、様々な病態を複合しやすくなります。
単にその時々の症状に応じた治療を行うのではなく、その方の過去の病歴や生活状況等を総合的に把握した上で治療を行うことが必要になります。
新制度では従来の高齢者の患者さんの診療体制の問題点を改め、高齢者の患者さんの特性をふまえた制度になっています。
一人の中心的な医師が高齢の患者さんの治療全般を責任をもって把握し、生活指導や投薬管理を総合的・継続的に行っていくことになっているのです。
もちろん、他科の専門的な診療が必要であれば、他の医療機関や高次医療機関と連携して必要な診療を行っていく体制になっていますし、また、患者さん自らが他の医療機関を受診することも自由です。
また、今回の新制度では、終末期医療に関する本人や家族の意思の確認も行われるようになりました。
これまで日本では、社会が「死」の問題と向き合うことを避ける傾向があり、終末期の医療においても、機械的延命処置が際限なく施されていくことが多くありました。
私も長らく癌の外科治療に従事してきましたが、中には手遅れの状態だったり、多臓器に再発を起こしてしまう患者さんもあり、その場合、悪化していけば死が間近で避けられないことが明確に分かります。
従来の医療では、それでも「スパゲティー症候群」と揶揄されるように多くの管を患者さんの身体に挿入して、人工呼吸器や昇圧剤を用い、無理やり頑張らせていくことも行われていました。
一体、これが人の「尊厳ある死」であろうかと大いに悩んできました。
自分の家族であれば、そんな延命治療は決してやらないだろうとも思ってきましたが、患者さんと終末期の問題について話し合う機会が少なく、結局は義務的に延命治療を行っていました。
新制度では、高齢の患者さんとご家族に、終末期の治療方針について確認し、その意思を尊重することになります。
自らの尊厳ある生き方をご自分の意思で決めていただくためです。
中には、「殺されるみたいだ」と感じるとして反対する議員もいます。
でも、たくさんの管に繋がれたまま無理やり生かされ続けることを本当に希望する患者さんがいるでしょうか?
今回は新制度の対象となる75歳以上の高齢者の方々について制度化された意思確認ですが、私は、より広い世代で取り入れてもいいと考えています。


以上のように、新制度は逼迫した財政と進行が避けられない少子高齢化という国の現実姿を直視すれば、合理的な制度です。
皆様にご負担をお願いすることは、本当に心苦しいことです。
ただ、国民の健康を基盤となって支えている国民皆保険制度を持続可能なものとするには、どうしても必要なのです。
耳障りの悪いことから逃げるのではなく、真に皆様の未来の健康を考え、筋を通していきたいと思います。



4月30日

衆議院で揮発油税特別措置法改正案が再議決され、与党による3分の2の特別多数によって可決されました。明日からガソリン価格は再引き上げとなります。再議決の場面を巡っては、民主党の議員が河野衆議員議長の行動を妨害するなどの動きもあり、騒然としていました。ただ、5月12日になれば、再び道路特定財源に関する改正法の再議決問題が起こるため、民主党は福田総理大臣に対する問責決議案の提出を本日は行わず、その後は一段落といった雰囲気でした。与野党を問わず、議員にとっては分かり切った筋書きです。政局を演出する政治の表向きのパーフォーマンス部分と、それに乗じるマスコミの活動が、実態とかけ離れた政治のイメージを作り出していることは、結局は政治不信を強めているのではないでしょうか。国民のための「二大政党制」なら、重要問題にこそ、解決に向けた真摯な議論を重ねるべきではないかと思います。
政局は、5月12日以降に移ることになります。後半のゴールデン・ウィークを地元で過ごすため、帰路に発つ議員も数多くいました。