4月2日
地球温暖化対策について、熱心にご活動されている京都の浅岡美恵弁護士が来訪され、欧米の温暖化対策新法案等や、日本における一層の取組の必要性について意見交換をしました。
地球温暖化対策には、中国とインドを含む全主要排出国による世界的枠組みを作ることが、必須の要請です。福田首相は、だからこそ、抵抗の多い国別排出量制限の提唱を差し控え、発展途上国も対応しやすいセクター別アプローチを提唱しているわけです。でも、一方で、政策面で環境対策が進んでいる欧州諸国の目から見ると、日本の姿勢が消極的に映っているようです。
日本は、技術的側面で見れば、欧州よりも、ずっと先進的な環境対策を遂げてきたともいえます。セクター別アプローチは、各産業過程におけるベスト・プラクティスを普及させ、運用次第では、国別排出量制限よりも、将来的な絶対的排出量削減に有効なアプローチともいえます。ただ、現状では、国別排出量制限ほどの厳格な規制は難しい状況であるのも確かです。我国としては、セクター別アプローチを提唱していく以上、その利点を活かしながらも、中期的には、ある程度の国別排出量制限の合意を導いていく方策も考慮することが必要ではないだろうかと考えています。
3月31日
「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法案」(道路関連財源以外の租税特別措置法を5月末まで延長するためのつなぎ法案)が成立しました。名称にある「国民生活等の混乱」は、まさに国会自体が引き起こそうとしていたのであり、2ヶ月議論を先延ばしするためにだけに、このような法律を期限最終日に成立させる事態は、異常極まる状況という他ありません。何とも情けない話です。
福田首相は、2009年度からの道路特定財源の一般財源化を発表しました。地域や職種により様々な意見があると思いますが、道路に予算を充てる必要性の高い地域については、一般財源から支出すればよいわけですし、国民の過半数は支持しています。私も、支持していきたいと思います。
3月28日
予算が成立しました。最初の参議院本会議では、野党による過半数の反対で予算案は否決され、次の本会議で衆議院との両院協議会への参議院側の委員が全て野党から選出され(衆議院側は全委員が与党)、結局話し合いがつかず、憲法60条2項の規定により衆議院の議決が国会の議決となって予算が成立し、その旨の報告が3度目の本会議にて行われました。結論の分かり切った形式的な手続きに1日中付き合わされると、酷く非効率な気がします。
最後の本会議の1時間前に、道路特定財源に関するもの以外の、この3月末に期限切れを迎える諸税について、期限を5月末まで延長するための法律を成立させることに各党が合意しました。道路特定財源に関する税法を含めて期限を延長する内閣提出法案が衆議院で再議決できるのは4月末であるため、少なくとも約1ヶ月の間はガソリン価格が値下がりし、市場が混乱することになります。政治の不毛と言えばその通りなのですが、仮に全ての税法について措置がないままであったならば、日本経済に致命的な影響の出かねないところでした。それが避けられたのは、せめてもの機能だったと思います。また、期限延長が4月末でなく5月末までとなったので、現実にガソリンが値下がりしてからの経済への影響や民意の動向を見極める期限も延び得ることになったといえます。国民意思の反映という点では前向きに考えることも不可能ではないでしょう。
最後の本会議が終了したのは、午後10時近くになっていました。
3月27日
経済産業委員会で、予算に関する質問を行いました。(開会日:2008年3月27日 (木)会議名:経済産業委員会)今回は、特に、地球温暖化対策と特許に焦点を絞りました。
地球温暖化対策については、まず、諸々の革新的エネルギー技術開発について、国全体としての技術開発の効率性の観点から、複数の技術の相補的な組み合わせや資金以外の支援体制について質問しました。また、温暖化ガス排出量削減の国際的枠組みについて、福田首相や甘利経産大臣が言及しているセクター別アプローチの実現に向けた具体的取り組みについて質問しました。洞爺湖サミットを前に、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)に基づくセクター別ボトムアップアプローチを実践するプロジェクトに、積極的に予算がつけられています。日本が環境外交でリーダーシップを発揮するためには、2013年以降のいわゆるポスト京都の枠組みにおいて、主要排出国の多くにセクター別アプローチが好ましいことを納得させる必要があります。その見込みと根拠について質問しました。
特許については、中小企業における知的財産権の活用に関する支援制度について、利用実績と拡充の見込みについて質問しました。日本の特許審査体制は先進的ですが、利用者の方が未熟なのが現状であり、今後は、利用者の実状をふまえたより一層丁寧な支援を求めました。
3月26日
健康食品に関する企業の勉強会でシンポジウムが開催され、演者として出席しました。健康効果を謳う様々な食品やサプリメントが市場を賑わせていますが、文字通りの玉石混合なのが実情で、ある程度の健康効果が期待できる商品について、法規制に従い控えに遠回しの広告表現をしている正直な企業もあれば、ほとんど根拠もない商品なのに、法規制に反する誇大な健康効果を広告している悪質な事例もあります。一方で、消費者の側から見れば、どの商品を選んだらいいのかについて、提供される情報の量も質も全く不足しています。現在、私が事務局長を務める超党派の議員連盟で、新立法をも視野に入れながら、薬事法と健康増進法による現行の法規制の不備を改革すべく検討を進めているところです。
健康食品については、地域の特産物を利用した農商工連携による地域産業振興策として期待も大きくなっています。科学的根拠がある範囲内で、期待される健康効果に関する相応の情報提供を行っていくことが必要と思います。ただ、実際には、健康食品で人の健康状態を改善したとの科学的実証があるものは少なく、積極的に広告を認めていくと、消費者の自己責任を求めざるを得なくなります。今後も、多方面の方々より意見をお聴きして考えていきたいと思います。
3月24日
道路特定財源のための暫定税率の問題等、今月末で日切れを迎える税法の延長案の取扱いをめぐって、いよいよ正念場の週となりました。国会対策委員会での議論にも熱が入ります。
この1週間のうちに解決に至らないとすれば、日本経済に対する信頼が大きく失われるとともに、国民生活に深刻な混乱を起こします。政党間の駆引きによって、それ程の重要問題が、この時期まで放置されていること事態が極めて異状であり、政治の責任を痛感しています。それが与野党を問わない議員一般の素直な心境でしょう。誠実な協議が行われることを期待します。
3月22日
政務の間をぬって、上野の国立科学博物館で開催中のダーウィン展を見てきました。ダーウィンが進化論に思い当たり、その論拠を集めていった過程が、印象深く紹介されています。ダーウィンは、世界一周の船旅において様々な環境の場所で、非常に多くの種類の生物の標本を採取し、その分析を行いました。それによって、同種の生物が、棲む場所の環境によって、その環境でも暮せるように少しずつ形を変えていることに気がつきました。また、古い地層の中に見出した生物の化石と似た形の現在の生物とを比べ、現在の生物は、古い時代のものから、暮らし安いように形を変えていることに気づきました。これらの検討から、自然淘汰の著想に至ったのです。
ただ、当時のキリスト教圏の国では、一般に、世界は神によって現在と同じように造られたものと信じられていました。ダーウィンの祖国英国も例外ではありませんでした。人間がチンパンジーから進化したという考え方など、とんでもない発想でした。ダーウィンは家族のことを思いやり、着想から20年近くも進化論の発表をしませんでしたが、その間でも着実に証拠を集め、理論を精緻にしていたようです。他の研究者が同様の着想に至ったために、ダーウィンは進化論を発表する決断をしました。「種の起源」の刊行は一般社会でも大議論を巻き起こし、若手研究者の絶賛を浴びるとともに、短い間に支持者を広げ、10年後には、ほぼ誰もが認める考え方として定着したのです。
タブーともいえる「神」の関わる領域で人類の長らくの思い込みを打ち破ったダーウィンの偉大な功績には、科学研究者の一人として、頭が下がります。展示会は、「人間としてのダーウィン」の視点も取り入れられており、感動的でさえありました。真実と信じるところの論拠を集めて理論を磨くこと―それは政治家としても、同じことです。今後も頑張ってまいります。
3月20日
所沢の西武ドームで、埼玉西武ライオンズの開幕戦が開催されました。昨年度、スカウトの問題で不祥事を起こし、シーズンの成績も振るわなかった西武ライオンズ。球団創設30年目を迎える本年、「埼玉」を明示し、イメージ一新で臨みます。SAMの振り付けによる応援ダンスも取り入れられることになり、本日がそのお披露目となりました。実は、私の親しい友人である作家の吉永みち子さんが、ライオンズ内に昨年設置されたコンプライアンス関係の委員会のメンバーで、球団から吉永さんを通じて私にSAMを紹介してくれないかとの打診があり、吉永さんと私が間を取り持つ形で今回の企画が実現しました。本日は、ジャーナリストの蔦信彦さんら他の委員会のメンバーとともに、皆で開幕戦を観戦しました。最後まで粘り強く戦ったものの、残念ながらオリックスに2対1で敗れました。
3月19日
参院本会議で日銀総裁の国会同意人事案が再度不同意となり、戦後史上初の日銀総裁空席という異常事態を迎えることが確実になりました。世界的な株価の急落、急速な円高・ドル安、原油価格の歴史的高騰と国内外の経済の混迷が深刻化する中で、中央銀行のトップが不在となってしまいます。日本経済に対する諸外国の信頼も大きく損なわれるでしょう。株式市場からの外資系資金の流出による株価の一層の下落など、悪影響が懸念されます。
衆参の捻れという事態は、現行憲法に内在されていたものです。政府の見解が衆議院と食い違う場合、内閣総理大臣は衆議院を解散すればいいので、解決システムが存在しています。しかし、政府の見解が参議院と食い違う場合、憲法は参議院に拒否権と与えたのと同様の権限を付与していると言わざるを得ません。内閣総理大臣の指名や条約の承認、予算の議決などでは、確かに衆議院の優越が認められていますが、一般の法律案については、3分の2以上という特別な場合に限って衆議院は再議決可能となっており、また、今回の同意人事案件の帰趨などを考えてみますと、政府にとっては、参議院の方が扱いにくいことは明らかです。
二院制自体は、他の先進国の多くで採用されている政治制度で、日本国憲法の二院制も十分な論拠と合理性のあるものです。本来、現行憲法の理念では、参議院に党派性を持ち込まないことを前提としていたと考えるべきです。衆議院において出来るだけ直近の民意を反映させるとともに、「良心の府」たる参議院には、一時の世論の動向に振り回されない、非党派的・理智的議論を期待して、後者に拒否権にも似た権能を与えたのでしょう。ただ、民主主義の原則から、幾つかの重要事項と特別多数の民意がある場合には、参議院よりも衆議院を優越させているのです。
現在のような混迷が起こっているのは、日本国憲法の二院制の欠陥というより、現在の参議院の在り方の問題だと思います。選挙制度を含め、現在の参議院を根本的に作り直す必要があるのでしょう。私も、真に国民のためになる参議院改革のために、多くの議論を興していきたいと思います。
3月18日
宇和島で行われた病腎移植に関する議員連盟で、日本移植学会や日本泌尿器科学会等、病腎移植に否定的立場をとる医学専門家たちの意見聴取が行われました。本件では、病腎移植が違法・非合理な医療行為であるとして強く批判される一方で、移植用の臓器の供給が絶対的に不足する中、実際に病腎移植を受けて透析治療から解放され、社会で活躍している患者さんたちが少なくないという事態が問題を複雑にしています。私も移植医療にも関わることのある外科の医師として、基本的には学会側の見解に理があるとは考えています。ただ、病腎移植一般を、研究的医療としても全く認める余地がないのかというと、疑問は残ると思っています。特に、病腎移植に関する議論が深まっていなかった時期の古い事案についてまで、医師の責任を求めるには根拠が十分でないと思います。今後も、中立的立場を崩すことなく、しっかりと考えていきます。