日本の糖尿病患者数は急増しており、2007年には、その疑い例を含めると2210万人と推計され、「日本人の5人に1人は糖尿病」となっています。糖尿病が恐ろしいのは、重症化するまでほとんど自覚症状が無く進行するため、気付いた時には合併症が悪化していることが多いことです。高血糖状態によって血管が傷害されるため、糖尿病を放置すれば、失明(網膜剥離)、慢性腎不全、末梢神経障害、足趾の壊死などを来します。人工透析を受けている患者さんの半数弱は、糖尿病が原因です。 糖尿病は肥満と関連しており、肥満度が大きくなればなるほど、糖尿病の発症リスクが高くなることが知られています。日本人では、高度の肥満者は米国人ほど多くありませんが(BMI>30の肥満は日本人では3.5%程度、米国人では30%程度)、糖尿病の罹患率は米国と大きく変わらず、日本人では米国人と同程度の肥満度であっても、内臓脂肪の蓄積が悪化し易いのではないかと疑われています。 健康診断で、「糖が出ている」とか、「血糖値が高い」と言われたら、悪化しないうちに治療を始めるのが賢明です。初期であれば、薬剤に頼ることなく、適切な食事と運動で糖尿病を克服出来ます。食事の基本は、カロリーを守り[1日に標準体重(身長(cm)-100)×0.9程度)×30キロカロリー]、1日3食を均等に食べ(一時の大食いを避ける)、1食ごとの主食と副食(蛋白質・脂肪)のバランスをとり、糖質の多い食品を避けることです。パンやご飯を減らし過ぎないことと、副食は必ず1人分を取り分けて、大皿から取らないことを注意して下さい。また、果物と清涼飲料水は、速やかに吸収されて血糖値を上げやすいので、制限して下さい。アルコールも、缶ビール1本、日本酒1合、ワインはグラス1杯を目途で、大量飲酒は厳禁です。 |