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健康科学コラム

No.5:「脂肪の質」について

肥満防止の観点からは、重量単位当たりのカロリーの高い脂肪(タンパク質と炭水化物は1グラム4キロカロリー、脂肪は1グラム9キロカロリー)の過量摂取は、最も注意すべき点です。 その上で、脂肪を摂り過ぎない(脂肪から摂るカロリーを全摂取カロリーの25%に以下に抑える)ことを前提として、さらに「脂肪の質」にこだわることが重要なことが明らかになっています。

「脂質の質」が問題なのは、脂質の摂取が動脈硬化の原因となる血中コレステロール濃度に直結するからです。脂質は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別できますが、飽和脂肪酸は、動脈硬化の原因となるいわゆる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増やす作用があり、過剰摂取は、虚血性心疾患や脳血管障害の危険性を増大させます。一方、不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを抑制するとともに、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす作用があり、それら生活習慣病の危険性を低減させます。

飽和脂肪酸は、肉類や乳製品に多く含まれる一方、不飽和脂肪酸は、魚や植物に多く含まれています。もちろん、食べ過ぎは禁物ですが、脂分の多い食材ではあっても、例えば、マグロやブリ,サンマ,サバなどの魚や、ナッツなどの植物は、積極的に摂るべき食べ物といえます。
ただ、同じ不飽和脂肪酸でも、特に、脂肪酸の構造によって効果が異なることも明らかとなっています。表の青色で示した不飽和脂肪酸を多く摂るようにしましょう。


【 脂肪の質の比較 】

脂肪酸名 効果 多く含む食品
飽和脂肪酸 コレステロール・中性脂肪増加、
動脈硬化リスク上昇
乳製品、肉製品、ココナッツオイル、パーム油
単価不飽和脂肪酸
(オレイン酸など)
コレステロール低下
動脈硬化リスク低下
オリーブ油、菜種油、ナッツ、アボガド
ω3系多価不飽和脂肪酸
(EPAやDHAなど)
中性脂肪低下
善玉コレステロール上昇
動脈硬化のリスク低下
サンマ、サバ、ブリ、イワシ、マグロ、カツオ、
しそ油、えごま油
ω6系多価不飽和脂肪酸
(リノール酸など)
過剰摂取でω3系の有益な作用を
阻害する可能性(特に加熱した場合)
サフラワー油、コーン油、大豆油、胡麻油