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健康科学コラム

No.6:トランス脂肪酸について

健康科学 No.6:
トランス脂肪酸について

一般に、「マーガリンはバターより身体に良い」と信じられてきました。その理由は、バターは牛乳から作り動物性飽和脂肪酸が多いのに対して、 マーガリンは植物油を原料とし不飽和脂肪酸が多いからです。しかし、近年、マーガリンやショートニング、ビスケット等に多く含まれる「トランス脂肪酸」が悪玉のLDLコレステロールを増加し、善玉のHDLコレステロールを低下するため、虚血性心疾患の発症と認知機能の低下のリスクが高まることが明らかになりました。

トランス型脂肪酸について各国で規制が進んでおり、EU諸国では販売規制・表示義務の対象となり、米国でも2006年から加工食品や栄養補助食品に関してトランス型脂肪酸量を表示することが義務づけられています。ニューヨーク市では市内の飲食店における1食あたりのトランス脂肪酸の使用総量が0.5g以下に規制され、違反者には罰金が科せられています。

日本政府は、今のところ「日本人は欧米に比べて油脂の摂取量が少ないからトランス脂肪酸の心配は必要ない」としていて表示義務さえもありませんが、トランスファットは洋菓子類に多く含まれており、洋菓子好き人では既に危険な量を摂取しています。油の摂取量が少ないとされるアジアでも、近年、韓国や台湾で表示規制が開始されており、日本の対応だけが遅れている状況です。

現在では、「マーガリンはバターより身体に良い」と一般的には言えません。最近は、トランス型脂肪酸の低い含量を積極的に表示して差別化を図っている商品が多く出回っていますから、選ぶのなら、そういった商品にしましょう。

昨年11月19日の質問で、私がトランス脂肪酸の問題を福島みずほ大臣に問いただし、それが契機となって、規制の見直しが進められました。3月16日の内閣委員会で福島大臣は、今年の夏までにトランス脂肪酸についてのガイドラインを取りまとめることを私の質問の答弁で約束しました。トランス脂肪酸の含量や危険性が、消費者に明確に情報提供されるよう、引き続き一生懸命に取り組んでまいります。